名高達男とCieloジュリエットの対談(前編-2)


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ジュ:大学時代にスカウトされたんですよね?
名高:はい。金沢の大学にいたときです。年に一回、金沢にサイン会で来ていたモデルの事務所の人が、予想以上にサインカイが長引いて飛行機じゃなくて電車で帰るために金沢駅に来ていたんですよ。僕の方は手前味噌ですけど、単位をひとつも落とさなかったから早めに実家に帰ろうと思って金沢駅に行ったんです。それで、モデルの事務所の人と出会ってスカウトされました。
ジュ:もし、モデル事務所の人が飛行機で帰っていたら…。もし、名高さんが単位をひとつでも落としていたら、出会わなかったということですね。
名高:大学を卒業したら、エンジニアになるつもりでいたんですよ。まったくモデルとか芸能界なんかに興味なかったのに。モデルから役者になるときもそうでしたね。役者をやらないかって声をかけられなかったら、まだエンジニアになる気持ちがあったんです。でも、どうしようか悩みに悩んで、最終的に役者の道を選びました。
ジュ:最後に決断されたときは、どんな感じでしたか?
名高:それこそ、ぼうっとした状態だったと思います。40歳、50歳になったときに、テレビや映画で「この役者よりも自分の方がいいんじゃないか」と後悔したくないな…くらいしか考えていなかったですね。本当にギリギリの状況になると、人間って第六感か神様の指令なのか、そういったものに導かれるような気がします。
ジュ:不思議ですよねえ。あるときふと振り返ってみると、本当に人生ってうまくプログラミングされているって感じますよね。
名高:そうなんですよ。浮き沈みもありますけど、悪い時にも人のせいにしたりしないで「これは自分が有頂天にならないように、良い経験をさせてもらっているんだな」って思っていると、必ず次に良い人との出会いがあったりして。
ジュ:それは私もお客様に「悪いときは仕込みと熟成の期間なのよ」ってお伝えしていますね。そう考えると、本当に人生の一瞬一瞬がいとおしいものに思えてきて。
名高:僕も人生って素敵だなって思いますよ。それと常に心をオープンにすることが大切だと思っています。そうすると良いものが寄ってくる。逆に心を閉じていると悪いものが寄ってくる。
ジュ:分かります。困難なときにも前向きに心をオープンにする、心地のいい"快"の状態に保つと、良いものは自然と引き寄せられてきますね。

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